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ありがとう台湾 慶祝中華民國建国100年

ライセンスメイト篇

平成24年6月号「祝辞 台湾慰霊訪問の旅によせて」

 私たちは、原台湾人元日本兵軍人軍属三万三千余柱のご英霊に深甚なる慰霊の誠を捧げるため、平成11年から13年に亙り台湾訪問を継続して参りました。実に様々な皆様のご縁とお陰で今日まで続けてくることが出来ましたが、この事業を推進してきた過程で段々と固まってきたことを述べさせていただきます。

 先ず第一に台湾人元日本兵軍人軍属三万三千余柱の英霊と向き合ってきた13年でした。社員旅行という契機はそれとしても、この訪問団の立ち上げに際しご指導戴いたのは、当時、福岡県郷友会事務局長の日高清先生です。先生のご指摘を深く受け止め、団の名称を「日華(台)親善友好慰霊訪問団」と定めることにしました。この命名こそが訪問団の運命を大きく変えた要因ではないかと思います。大東亜の解放と祖国の防衛に若い命を捧げた人々に私たちが直接的にできることは何か。それは故人が主人公となる時間と空間を組織化し、慰霊に始まり慰霊に終わる供養の旅を継続することでした。

 第二は、現地で戦死者の碑を守り、当時の勲を忘れずに日本時代の名誉をひたむきに守り通してくれる人たちとの交流に心を砕いてきた13年でした。なぜ英雄が存在したのか。それは英霊として素直に尊崇し伝承してくれる人々がいてくれるから、後世の私たちが英雄として認識できるのです。また、伝承し勲を語り伝える行為も英雄に負けず劣らずの働きだと思います。この人たちと交流せずして、あるいはこの人たちの貢献を讃えずして誰と交流し何を讃えるというのでしょうか。

 第三は、マンネリズムと闘い、新しい訪問場所を積極的に開拓してきた13年でした。私たちは4泊5日かけて南部の高雄から台南、台中を通り、台北まで三百キロ以上の行程を縦走し、元日本人の軍人・軍属が祀られている場所や碑を訪れ、各地で慰霊の誠を捧げています。これらの慰霊地を毎年5ヶ所以上選定し、戦沒者の方々に敬虔な祈りと感謝の誠を捧げてきました。これまで私たちが訪れた訪問先・交歓先は222ヶ所(正味69ヶ所)、訪問団員384名(正味235名)に及んでいます。

 第四は、連携と協力を求めて門を叩き続けてきた13年でした。この事業をご理解して下さる所にはご協力を仰ぎ、ご理解いただけない所にはご理解して下さるよう門を叩き続けました。もし、唯我独尊に陥っていたらとても13年はもたなかったでしょう。

 第五は、10年前の平成14年10月21日に全国の高等学校と福岡県内全ての教育施設に台湾への修学旅行を呼びかけるため8,443通ものDMを発送したように告知活動に励んできた13年でした。そのために多様性溢れる方法を駆使してきました。この根底にはこの事業を隠れた善行や秘め事にせず、我が国の国民すべてがご英霊と向き合って欲しいという強い思いと願いがあるからです。もし、告知活動に無知か無関心だったらとても13年はもたなかったでしょう。

 第六は、結団式、帰朝報告会等の行事に拘り、露出に拘ってきた13年でした。公然と名乗り出て堂々と公募せずして世間の認知は勝ち取れません。また、行ってらっしゃい・行って参ります、お帰りなさい・ただ今戻りましたとお声掛けできる場を設けずして事業の共有化は決して図れません。訪台経験はお見送りとお出迎えによってこそ入魂が勝ち取れるゆえ、その陣容の組織化こそが問われています。もし、こうでなかったらとても今のような訪問団はできなかったでしょう。

 第七は、ドキュメントを残し記録をしながら前進することに心を砕いた13年でした。今日のことは明日には歴史になるというのは幻想にすぎません。ドキュメントを残し、記録を体系化しない限り歴史は作れません。そしてその歴史をたどれない限り、後に続く人は現れません。たどりたくてもレールがないからです。私たちは慰霊訪問の旅の真実の姿を冊子やDVDに残すことに拘り、歴史を作ってきました。そして本日、皆様とこうしてまた新しい歴史を刻むことができました。

 私たち訪問団が台湾を訪問する第一義の目的は、原台湾人元日本兵軍人・軍属三万三千余柱に、日本国民として追悼と感謝の誠を捧げ、顕彰することですが、昨年の第13次訪問では、東日本大震災への台湾の皆様のご支援に感謝の念を伝えるとともに中華民國建国100年への祝意を表すことを大きな目的としました。「ありがとう台湾 慶祝中華民國建國100年」と書いた横断幕を掲げ、移動のバスの両面にも同様の張り紙をして台湾中を走り回りました。このことは台湾でも大変喜ばれ、歓迎を受けました。

 また、13次の訪問で特筆すべき点を三つ申し上げておきます。先ず一つ目は宝覚寺での日本人墓地における慰霊式に私たち訪問団とは別に現地の日本人観光客71人が合流したことです。二つ目は念願だった台中市政府表敬訪問が3年越しに成就し、蔡炳坤副市長のご歓待を受け、宝覚寺での慰霊式・慰霊祭が市政府の公式ブログで告示されたことです。三つ目は台北駐福岡經済文化辧事處の曾處長による台湾の報道機関への事前連絡により、空港に到着した初日から取材攻めにあい大々的に報道されたことです。

 大震災復興支援へのお礼や中華民國建国100年慶祝の件で訪問団の活動のステージが上がったような感じがしてなりません。また点から線、そして面への広がりを持つに至ったこの活動を台湾の皆様もすっかり信頼され、私たちとの交流を心待ちにされておられる方が年々増えています,私たちは13年に及ぶ訪問で体得した貴重な経験を今後の両国関係のさらなる強化に役立てていきたいと思います。

 

 結びにあたり台湾を愛する皆様におかれましては、私たち訪問団への尚一層のご教示、ご鞭撻を賜りますよう祈念してやみません。